ミャンマー人エンジニアが日本で増えている背景は?
ここ数年、ミャンマー人エンジニアが日本で増えています。本章では増えている背景に有るのが何かをみていきます。
日本におけるエンジニア不足
ミャンマー人エンジニアが増えているということは、日本人以外からエンジニアを雇用しているからです。日本におけるエンジニア不足は深刻な問題です。経済産業省の調査によれば、2030年までにIT人材の不足が最大で79万人に達すると試算されています。特にネットワークエンジニアやクラウドエンジニア、AI関連、スマートフォン関連などでの人材不足が懸念されています。
ミャンマー人エンジニアの採用は、日本のエンジニア不足を解消し、多様性を尊重した効果的な人材戦略の一環として注目されています。
ミャンマー国内でエンジニア人気が高い
ミャンマーでは、IT技術への関心が高まっており、特にエンジニアリングに対する関心が高いことが特徴です。この背景には、国内でのIT教育の充実があります。多くの大学でIT関連の学科が設けられており、それによって高いレベルのIT技術者が多数輩出されています。
全92カ国を対象としたヒューマンリソシアが2020年7月に発表した調査データによると、IT技術者の供給力を見る参考として、「現役IT技術者数に対するIT分野卒業者数の割合」を算出したところ、ミャンマーは1位を獲得しており、現役IT技術者の約2.5倍ものIT卒業者が年間で輩出されています。
引用:https://git.resocia.jp/info/post-developers-around-the-globe-survey-career/
これらの大学を卒業した人材は、即戦力となるITスキルをもっているため、日本を始めとする海外の技術需要に応えることができる能力を持っています。そのため、ミャンマーはIT技術者の供給国として、非常に高いポテンシャルを持っていると言えます。
ミャンマーは日本語学習者が多い
ミャンマーの外国語大学や民間教育機関では日本語学習が行われており、学生は学んだ知識を活かしたい意欲を持っています。
日本語能力試験の公式HPによると、2023年12月の受験者数は中国に次いで2位であり、延べ86,406人がミャンマー国内で日本語能力試験を受験しています。
これは、日本で最も一般的なオフショア開発国であるベトナムの受験者数28,562人の約3倍にあたり、ミャンマー人日本語能力人材の豊富さが際立ちます。
引用:https://www.jlpt.jp/statistics/archive/202302.html
日本語能力試験には最も難易度の高いN1から入門レベルのN5まで5段階のレベルがありますが、中でも日常会話レベルの指標でもあるN3、N4の受験者数は世界1位を獲得するほど、ミャンマー人は日本に対する興味や高い日本語学習意欲を持っています。このことからも、ミャンマーには日本語能力を持った優秀な人材が多数存在していることがわかります。
ミャンマーの国民性・働き方
ミャンマー人は、仏教信仰に基づく真面目で穏やかな国民性を持ち、家族や年上の人を大切にする文化が根付いています。また、日本人と似た遠慮の文化を持ち、親日家が多いことも特筆すべき点です。
仏教信仰と真面目な国民性
ミャンマーは、世界で最も仏教徒の割合が高い国の一つであり、政府の公式統計によると、人口の約90%が上座部仏教を信仰しています。この割合は、他の東南アジア諸国と比較しても非常に高く、ミャンマー人の仏教信仰の深さを示しています。
多くの人が仏教を信仰し、功徳を積むことを大切にしています。この信仰心が、真面目で誠実な国民性を育んでいます。正直さと思いやりは、ミャンマー人の素晴らしい特徴と言えるでしょう。
目上の人を尊重する文化
ミャンマーでは、年功序列の文化がまだ残っており、年上の人、両親、先生を尊敬する習慣が根付いています。若者は年長者の意見に耳を傾け、敬意を払います。また、家族を大切にする人が多く、親孝行や家族の絆を重んじる傾向があります。このような尊重の文化は、職場でも見られ、上司や先輩の指導に真摯に耳を傾ける姿勢が見られます。
遠慮の文化
ミャンマー人は、日本人と似た遠慮の文化を持ち、相手に気を遣いすぎるあまり、自分の本心を伝えないことがあります。これは、相手を不快にさせたくないという配慮の表れでもあります。一緒に働く際には、仕事以外のカジュアルな場での接点を増やし、本音が話しやすい環境を構築することが大切です。例えば、食事会やチームビルディングのイベントを通して、親睦を深めることで、ミャンマー人の本音を引き出しやすくなります。
高い奉仕精神
ミャンマー人は、功徳を積むという仏教の観念に基づいた高い奉仕精神を持っています。これは、他者を助け、社会に貢献することで、自分の徳を高めるという考え方に由来しています。この奉仕精神は、寄付行為にも表れており、ミャンマーは世界の寄付指数ランキングでトップクラスに位置しています。例えば、2019年のWorld Giving Indexによると、ミャンマーは総合ランキングで2位、寄付部門では1位を獲得しました。この結果は、ミャンマー人の奉仕精神の高さを示す一つの指標と言えるでしょう。
ミャンマー人の国民性を理解し、その長所を活かすことで、真面目で協調性の高いチームを作ることができます。年上の人を尊重する文化や遠慮の文化に配慮しつつ、本音で話し合える環境を整えることが、ミャンマー人とより良い関係を築くための鍵となるでしょう。
ミャンマー人エンジニアを採用することのメリット
ミャンマー人をエンジニアとして採用するメリットを4つご紹介します。
ミャンマー人エンジニア採用のメリット①時間的コストの安さ
ミャンマー人エンジニアの採用にはいくつかのメリットがあります。その中でも、時間的コストの安さが挙げられます。ミャンマー人の平均月収は簡単な仕事であれば7,000円ほどであり、エンジニア職はミャンマー国内では比較的高い傾向はあるものの、平均月収は4~20万円ほどで日本と比べると大変月収が安いことがわかります。
ミャンマー人は教育に対する意欲が高く、多くのエンジニアが高い学歴を持っています。日本での技術研修や実務経験を積むことで、優れたエンジニアとして活躍できるポテンシャルを秘めています。
ミャンマー人エンジニア採用のメリット②日本語力の高さ
上述した通り、ミャンマーでは日本語の人気が高く、日本語学習者が非常に多いです。また、ミャンマー語は、日本語や韓国語と同じく、主語-目的語-動詞(SOV)の語順を持つという特徴があります。このような文法構造の類似性により、ミャンマー人は他の国籍の人々に比べて、比較的容易に日本語を習得することが可能です。
同じ日本語能力試験(JLPT)のレベルを持つ他国の受験者と比較しても、ミャンマー人はより高い日本語会話能力を有していると言えます。この高い日本語コミュニケーション能力により、同じJLPTレベルの資格を持つ他国の人材と比較しても、より迅速に業務に適応し、チーム内のコミュニケーションを円滑に進めることができるでしょう。
このように、ミャンマー語と日本語の文法構造の類似性は、ミャンマー人エンジニアが日本語を習得する上で大きなアドバンテージとなっています。この特徴は、ミャンマー人エンジニアを採用する日本企業にとって、大きなメリットの一つと言えるでしょう。
ミャンマー人エンジニア採用のメリット③モチベーションの高さ
ミャンマーは経済的に発展途上国であり、若者たちは日本での仕事を求めています。日本のIT産業は成長しており、エンジニアの需要が高まっています。ミャンマー人エンジニアは、日本での就職難を克服するために高いモチベーションを持っています。
ミャンマー人エンジニアは、自身のスキルを向上させ、キャリアを築くことに強い意欲を持っています。日本の企業で働くことを通じて、さまざまなプロジェクトに携わり、スキルを磨きたいと考えています。
ミャンマー人は日本の文化に興味を持っており、日本で働くことに前向きです。日本のライフスタイルや習慣に適応し、日本企業での仕事に熱心に取り組んでいます。
ミャンマー人エンジニア採用のメリット④親日の人が多いこと
ミャンマーと日本は長年にわたり友好関係を築いてきました。日本は戦後賠償を通じてミャンマーのインフラ整備や技術支援を行い、多くのミャンマー人が日本に留学し、技術研修を受けました。これらの交流がミャンマーにおける親日感情の醸成に貢献しています。
ミャンマー人は日本の文化に興味を持っており、日本で働くことに前向きです。日本のアニメやドラマ、音楽などが人気であり、ミャンマー人エンジニアは日本での生活に適応しやすい環境を求めています。
ミャンマー人エンジニアを採用することのデメリット
前章ではミャンマー人エンジニア採用のメリットを紹介しました。一方で、デメリットとなることについても紹介します。
ミャンマー人エンジニア採用のデメリット①モダンな開発言語を使える人はまだ少ない
ミャンマー人エンジニアの採用に際して、最新のプログラミング言語やフレームワークに精通した人材が比較的少ないという課題があります。これは、ミャンマーの教育機関におけるIT関連のカリキュラムが、急速に変化する技術トレンドに追随していないことが一因となっています。
ミャンマーの多くの大学や専門学校では、伝統的なプログラミング言語Java, PHPなどを中心に教えており、Ruby, Go などのモダンな言語や、最新のウェブ開発フレームワークに関する教育は限定的です。そのため、これらの技術を習得したエンジニアは少数派となっています。
ただし、この状況は徐々に改善されつつあります。オンラインラーニングプラットフォームの普及により、ミャンマーのエンジニアも自主的に最新技術を学ぶ機会が増えています。また、大学や専門学校もカリキュラムの改善に取り組んでいます。
日本企業がミャンマー人エンジニアを採用する際は、彼らのスキルセットを見極め、必要に応じてトレーニングを提供することが重要です。モダンな開発言語やフレームワークの知識が不足していても、基礎的なプログラミングスキルと学習意欲があれば、十分に戦力として活躍できる可能性があります。
企業は長期的な視点を持ち、ミャンマー人エンジニアの潜在的な能力を引き出すことに注力すべきでしょう。彼らに最新技術を学ぶ機会を与え、成長を支援することで、ミャンマーのIT業界の発展にも貢献できます。
ミャンマー人エンジニア採用のデメリット②文化的違いと誤解が生まれやすい
ミャンマー人エンジニアを採用する際、文化的な違いによる誤解が生じやすいのは、ミャンマー人に限らず外国人エンジニア採用全般に関わる課題です。仕事への姿勢、コミュニケーションスタイル、時間の概念などは、国や文化によって異なるため、互いの理解が必要不可欠です。
ミャンマー人エンジニアを受け入れる際は、彼らの文化的背景を尊重し、オープンなコミュニケーションを心がけることが重要です。また、企業側も多様性を受け入れる柔軟性を持ち、ミャンマー人エンジニアの強みを活かせる環境を整備することが求められます。
しかし、本章で示したようなデメリットがミャンマー人エンジニア採用にあるため、いきなり雇用するのは不安がつきまといます。
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また当社EORサービス「PLUS TALENT」では、フルリモートで雇用したミャンマー人エンジニアの日本への招聘も可能なため、外国人エンジニア採用を考える企業にとっては、採用のミスマッチングを防ぐことも可能です。
まとめ
エンジニア不足が叫ばれる日本で、ミャンマー人をエンジニアとして採用する事例が増えています。
日本との国民性の違いやメリット・デメリットを理解した上で採用を検討しましょう。ミャンマー人の国民性や文化を深く理解し、尊重することが採用成功の鍵となります。
ミャンマーはIT教育が盛んであり、IT学習者が多く、また日本語学習者も多いため、今後の日本のIT人材不足を補う上で重要な役割を果たすでしょう。
しかし、ミャンマー人材の採用に興味があったとしても、
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