近年、欧米諸国で外国人人材の活方手法として注目されているEmployer of Record (EOR / 雇用代行)サービスですが、日本ではまだ一般的ではないため、名前すら聞いたことない人も多いのではないでしょうか。
本記事ではEOR(雇用代行)について理解を深めてもらった上で、導入までの流れと、EOR(雇用代行)がおすすめな企業とその理由について丁寧に解説いたします。さらに、特徴別のおすすめEOR事業者をご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
EOR(雇用代行)とは?
EOR(Employer of Record)とは、直訳すると「記録上の雇用主」となり、国外で外国人人材を雇用したい企業の代わりに、当該国において、従業員を代理で雇用し、給与支払い、その他人事労務管理等を企業に代わって行うサービスのことです。EORを利用することにより、企業は、国外に居住する外国人人材を合法的に雇用することが可能になります。また、企業はEORを利用して雇用した外国人人材に対して直接、業務指示を出すことができるため、雇用している従業員と同じ働き方を求めることが可能となります。
つまり、EORを利用することで、企業は海外拠点の有無を問わず、法的に不可能だった外国人人材の現地雇用が合法的に可能になります。これにより、世界中の人材をターゲットとして採用活動を行うことができるようになります。

EORの3つのメリット
EORを利用することで、主に3つのメリットがあります。
- 人材不足の解消
- 海外市場への進出につながる
- 手間をかけずに人材を採用できる
- 人件費を削減できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
人材不足の解消
EORは海外の優秀な人材と日本企業をつなぐためのサービスなので、利用する最大のメリットは人材不足の解消です。日本の労働人口は年々減ってきており、どの企業も人材不足に頭を抱えています。日本は、平均寿命が伸びただけでなく出生率が下がっているため、労働人口が年々減ってきています。そのため、海外人材を採用できるEORを利用することで、人材不足の解消につながります。
海外市場への進出につながる
海外人材を採用することで、海外のリアルな状況が知れ、海外市場への進出につながります。海外人材が社内にいることで、海外進出する時に問題となる「文化の違いによる障壁」を取り除くことにもつながります。
これから海外進出を考えている企業にとって、EORを利用することは、海外進出への第一歩とも言えるでしょう。
手間をかけずに人材を採用できる
EORサービスを提供する会社は、雇用手続きや給与計算・支払いなど外国人人材を雇用するのに手間となる部分を全て代行してくれます。また、それだけでなくEOR事業主によっては、人材を紹介してくれたり、現地でマネジメントをしてくれたりと、企業が手間をかけずに人材採用を可能にする様々なサポートを行ってくれます。
人件費を削減できる
海外から人材の雇用を可能とするEORの利用は、特に発展途上国からの人材採用において、企業にとって大きな経済的メリットをもたらします。発展途上国の人材を採用することで、人件費を日本国内での採用に比べて圧倒的に安く抑えることが可能になります。
これは、給与水準が日本と比較して低い発展途上国の基準に基づいて給与を設定できるためです。このようにして、EORを活用することで、コスト効率の良い人材戦略を立てることが可能になります。
どんな会社におすすめ?
企業にとって、自社がEORを使うのに適している会社なのかを知っておく必要があります。EORサービスはどのような企業におすすめなのか。また、なぜおすすめできるのかを企業別にご紹介します。
- 海外に事業を拡大したい企業
- 外国人人材の採用を検討している企業
- 即戦力人材の採用が上手くいっていない企業
- 柔軟に人員拡大を行いたい企業
- ソフトウェア受託開発(ラボ型、請負型)を検討/利用している企業
海外に事業を拡大したい企業
海外に事業を拡大するには、現地での人材採用は必要不可欠です。しかし、現地人材を雇用するには、現地法人を設立、現地在住の人材を発掘、現地の法律に基づいた労務・人事管理など複雑な業務を全て行う必要があります。また、それには多くの時間やコストがかかります。
そこで、EORサービスを利用することで、現地法人を設立せずに現地の人材を雇用することができます。また、採用した人材への雇用契約や給与支払いの代行、現地の人事労務の法律に則った労務管理のサポートも行います。これにより、現地で自社サービスの市場調査を簡単に行うことができます。
本来かかる時間やコストを一切かけることなく、海外への事業拡大が実現できるという観点から、EORはコロナ禍によるオンラインワークの普及に伴い、欧米をはじめとする先進国では人気の人材雇用手法となっています。
外国人人材の採用を検討している企業
社内のグローバル化や、海外市場への展開、人材不足の解消のために外国人人材を採用することは有用な手段です。しかし、外国人人材を採用するとなると以下のような不安が付きまといます。
「どうやって人材を探せばいいんだろうか」
「採用がうまく行ったとしても、コミュニケーションやパフォーマンス等に不安が残る」
「マネジメントをうまくする事ができるのだろうか」
「日本に招聘する場合、ビザや住宅手配等の手続きが面倒」
このような理由から、外国人採用を進められていない企業も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、EORサービスを活用することにより、それらの不安を解決に導くことが可能です。
EORサービスを利用すると、企業は日本国外に居住する外国人人材をリモートで雇用する事ができるため、社内のグローバル化や海外市場への展開を短期間で進めることができます。また、外国人人材を日本へ招聘し正規雇用することを検討している場合も、スキルや企業文化への適合性を、現地での雇用を通じて確認することができるため、日本へ招聘した際のミスマッチを減らすこともできます。
そして、EOR事業者によっては、人材紹介サービスや現地でのマネジメントサポートを提供している場合もあるため、外国人人材を探す手間を省くだけでなく、相手の見えないリモートワーク環境下でも安定した勤務パフォーマンスを実現することも可能です。このように日本国内でいきなり外国人人材の正規雇用を行うよりもリスクやコストを抑えながら、柔軟に外国人人材の雇用を進めることができます。
即戦力人材の採用が上手くいっていない企業
近年、日本では人材不足が叫ばれています。IT業界が特にですが、それ以外の業界も人材不足は深刻な問題となっており、それは日本だけにとどまらず、海外の先進国も同じ問題に悩まされています。
特に即戦力人材となると、見つけることすら難しく、たとえ見つける事ができたとしても、複数企業で取り合うことになるため、自社に興味をもってもらい採用まで辿り着くのはかなり難易度が高いと言えます。
即戦力人材の採用は今後の人材不足の加速と共にさらに高難易度の事業課題となり得るでしょう。
そこで、EORサービスを利用すると、人材のフィールドを日本国内から世界中に広げることが可能となります。優秀なIT人材の供給力が高い国などあらゆる国から即戦力人材を自社の社員として迎える事ができます。
また、現地で人材を採用するため、給与水準も現地の水準が適応されます。日本より給与水準が安い国の優秀な人材を現地採用すると、人材不足を解消するだけでなく、人件費の削減も同時に行うことが可能です。
柔軟に人員拡大を行いたい企業
企業によっては、対応案件の拡大や、事業拡大・新規事業の意思決定により、急遽人員拡大が求められるケースがあります。
その際に、自社の要件に合う人材がすぐに見つかるとは限りません。さらにIT人材となると、日本におけるIT人材不足が、突発的な人員採用の難易度をさらに高くしていると言えるでしょう。
EORサービスを利用すると、全世界に採用する人材の範囲を広げることができるため、世界中の必要要件を満たした人材をターゲットとして採用活動を行うことができます。
また、EOR事業者の中には、要件にあった即採用可能人材のマッチングサービスを行っている企業もあり、人材を探す手間すら省く事ができるので、短期間での人員拡大の実現が容易となります。
ソフトウェア受託開発(ラボ型、請負型)を検討/利用している企業
一見EORとは関係のないように思うかもしれませんが、受託開発会社とEORのビジネスモデルと開発体制の違いからEORサービスは受託開発に比べ、開発費を削減や急な仕様変更への柔軟な対応、社内開発ノウハウの蓄積に大きく貢献する事ができます。
ビジネスモデルの違いによる安さの実現
受託開発企業は受注金額から人件費・オフィス代等を引いた金額が利益となるビジネスモデルを提供しており、同時に納品までのプロジェクトマネジメント業務も一挙に引き受けます。そのため企業は利益を最大化するために、プロジェクトマネジメント業務費用や多少の納期遅延による稼働工数の増加等に備えた余剰費用も加味し、受注金額(人月単価)を高く見積もる傾向にあります。
対して、EORのビジネスモデルは月額サービス料×稼働人数が企業の売上となるため、請求金額自体が明瞭です。またプロジェクトマネジメント等が費用に含まれず、追加業務に備えた予備費用も含まれないため、受託開発事業者に発注するよりも、開発にかかる費用(人件費)を削減する事ができます。
急な仕様変更への柔軟な対応と社内開発ノウハウの蓄積に貢献
請負型の受託開発では、外部に案件を依頼し完成品を納品してもらうモデルなので、開発要件が完全に固まっており、納品後のサポートも依頼しない場合は受託開発がおすすめです。
しかし、開発中に仕様の変更が発生したり、納品後も継続的に保守・運用を行う必要がある場合、追加費用がかかり結果的に高額になるだけでなく、継続的な開発に必要なノウハウ・知見が社内に蓄積されません。
対して、EORサービスを利用すると、自社開発チームの一員として外国人人材を採用する事が可能なので、急な仕様変更にも追加費用なく対応することができます。さらに、保守・運用全てを社内で開発する事ができるため、継続的に開発を行うためのノウハウや知見を社内に蓄積する事ができます。
2種類のEORタイプ
EORは大きく分けて2つのタイプがあります。
- 多国展開型EOR
- サービス特化型EOR
以下にそれぞれの違いについてご紹介いたします。
まとめ
EORサービスは、海外進出やグローバル人材の採用を検討している企業だけでなく、即戦力人材を求める企業や柔軟に人員拡大をしたい企業、その他あらゆる企業にとっても強力なツールとなり得ます。
複数あるEOR事業者の中でも、それぞれの特徴や強みを理解した上で自社に最適なパートナーを選ぶことが重要です。
弊社が運営するEORサービス「PLUS TALENT」は、サービス特化型EORであり、企業は以下のような恩恵を受けることが可能です。
1.商談から最短3営業日での勤務開始が可能
商談後最短3営業日で要件に合う人材とのマッチング、面接のアレンジ、採用決定まで行うことができます。
採用決定後はすぐに人材との現地法律を遵守した契約の締結、勤務開始日の決定など、勤務開始までに必要な手続き全てのサポートを受ける事ができます。
2. リーズナブルなジュニア ~ ミドルクラス人材から、高技能即戦力なハイクラス人材まで幅広く対応
独自の人材データベースを活用し、企業の多様なニーズに応じた最適な人材とのマッチングサービスを提供します。「最先端の技術を持つ人材を採用したい」「コーディングスキルを持つ人材をコスト効率よく採用したい」など、企業のあらゆる要求を満たす人材が揃っています。企業は必要な人材を自ら探す手間なく、理想の人材と出会うことが可能です。
3. 日本人によるサポートや、勤務場所提供を通じた業務パフォーマンスの最大化
外国人をリモートで採用するとなった際によくある不安要素として、「コミュニケーションコストが高い」「在宅勤務環境下での業務パフォーマンス維持が困難」などが挙げられます。
PLUS TALENTを通じて採用した人材は、就労環境の整ったオフィスにて働いてもらうことができます。これにより、些細なことでも問題が生じた際、現地常駐のスタッフが問題を解決し、リモート環境下でのパフォーマンスを最大化させることが可能です。
ぜひご利用を検討してみてください!